抄録
肝細胞癌に対する外科治療としては, 肝臓の一部を腫瘍とともに切除する肝切除がある. 肝細胞癌の多くは慢性肝疾患を背景として発生するために, 背景肝の障害度を正しく評価し, さらに腫瘍の進展度をみて肝切除の適応を決定しなければならない. 肝細胞癌は門脈内腫瘍栓とそれに続く肝内転移を形成する臨床病理学的特徴を有し, したがって可能ならば腫瘍の血管支配領域を考慮した系統的切除が望ましい. 肝切除が適応でなければ, 経皮的局所療法, 肝動脈化学塞栓療法を考慮する. 肝硬変が進行した肝細胞癌症例では, 腫瘍条件によっては, 肝移植が適応となる. 欧米では主に脳死肝移植が施行され, 本邦ではほとんど生体肝移植のみしか行われていない. 腫瘍条件としては, ミラノ基準を満たす症例は肝移植後の再発も少なく, 本邦でも肝癌をともなった症例の脳死肝移植への登録はミラノ基準内のものに限られ, また生体肝移植もミラノ基準内の症例しか保険適応となっていない. しかし, ミラノ基準外であっても条件によっては自費で生体肝移植が施行されているのが現状である.