順天堂医学
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第22回都民公開講座《健やかな中高年ライフをめざして――メタボリック症候群と認知症の克服――》
認知症の予防には何をしたらよいか?
一宮 洋介
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2008 年 54 巻 4 号 p. 508-510

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抄録
『もの忘れ』がひどくなり, 日常生活や社会生活に支障をきたす疾患が認知症である. 認知症を生ずる疾患はアルツハイマー病, 脳血管性認知症, レビー小体型認知症, 前頭側頭型認知症など様々で, 慢性硬膜下血腫や脳腫瘍など治療可能な認知症も含まれる. わが国では人口の超高齢化が進み, 5人に1人が65歳以上の高齢者という状況になっている. 認知症の代表であるアルツハイマー病の最大の危険因子は加齢であり, 高齢者の数が増えると認知症の患者数も多くなる. 本邦の認知症患者数は現在180-200万人と推計されており, このうちアルツハイマー病が約60%を占めている. アルツハイマー病の危険因子として, 加齢, 性 (女性), 頭部外傷, アポリポ蛋白E遺伝子, 精神や身体の活動不足, 糖尿病, 高血圧症, 高脂血症などの生活習慣病が知られている. したがって認知症を予防するためには, 脳機能の活性化, 身体運動, 食生活の3項目がキーポイントとなる. 日常生活の中でコミュニケーションを充実させて脳の機能を活性化することを心がけ, 食事と運動のバランスをとる生活習慣病対策を意識したライフスタイルを実践することが大切である.
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© 2008 順天堂医学会
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