抄録
ストレスが増加しつつある現代社会において, 精神的, 身体的な健康を保つためにはストレスへの対処力を高めることが必要である. うつ病に対する心理療法として開発された認知行動療法は, 不安障害やアルコール依存症など様々な精神疾患における効果が実証されている. また, 最近では心疾患やがんなど身体疾患をもつ人のストレスマネジメントにも効果があること, さらに生活習慣の改善, 大学生の適応改善などにも効果があることが示されており, 精神疾患や身体疾患の一次予防の効果も期待されている. 今後, 教育, 産業など様々な分野で, 認知行動療法的なアプローチを用いたストレスマネジメントプログラムが広がっていくことが期待される.