背景: 気管支喘息におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の有用性は多数報告されているが, 食物アレルギーの検討は十分にはなされていない. そこで, 食物アレルギー患児におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の有用性について検討した.
方法: 食物抗原の摂取により消化器症状, 皮膚症状, 呼吸器症状等を呈し, 食物アレルギーと診断した3-36ヵ月 (14±9.6ヵ月) の患児65例を対象にした. 食事療法を中心に治療を行った群32例, 食事療法とロイコトリエン受容体拮抗薬を使用した群33例の2群に分けた. 臨床症状, 血中好酸球数, 血清総IgE値, 血清サイトカイン値 (ECP, IL-4, IL-5, IL-6, TGF-b1) を治療前と治療開始後1年で統計学的検討を行い比較した.
結果: 食物アレルギー患児において, 正常健常児と比較し, 治療前の血中好酸球数, 血清総IgE値, IL-4, IL-5, IL-6, ECP値はいずれも高値だった. 食事療法を中心に治療を行った群では, 好酸球数の有意な低下を認めたが, IgE値は治療後に上昇した. 一方, 食事療法に加えロイコトリエン受容体拮抗薬を使用した群では, 血中好酸球数, 血清総IgE値, IL-4, IL-5, ECP値で有意な低下を認めた.
考案: ロイコトリエン受容体拮抗薬は, 気管支喘息の治療だけでなく, 食物アレルギーの治療においても有用であることが示唆された.
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