抄録
本論文では,単語の出現や共起情報のみに基づくような表層的な手法とは異なる,語の意味的な近さを考慮したマッチングによって文書同士や文書とクエリの近さを測るための概念表現の手法について提案する.ここで,この概念空間の表現にはコーパスから順序関係・共起関係などを利用した語同士の関連に基づいて抽出したsynonymy集合を用いた.また,語の表す概念を周りに出現している周辺語などから推論することで単語空間から概念空間への文脈依存的なマッピングを実現した.最後に,簡単な例を用いた比較実験を基に提案する概念表現手法の有効性について言及する.