主催: 一般社団法人 人工知能学会
会議名: 2019年度人工知能学会全国大会(第33回)
回次: 33
開催地: 新潟県新潟市 朱鷺メッセ
開催日: 2019/06/04 - 2019/06/07
科学技術革新が発生するメカニズムは未だ明らかになっておらず,計量書誌学を用いてその構造を探る研究が行われている.特にComputer Scienceでは研究者に限らず投資家や各国政府もどの組織が分野を牽引していくのかに注目している.しかし既存の組織評価指標は組織が出した論文数や被引用数といった研究者集合としてのコミュニティ評価が中心であり,研究組織が研究者に与える影響に着目した研究プラットフォームに対する評価は予算など副次的なものに留まっている.本論文では,書誌情報を用いて研究組織環境が研究者の学術生産性に与える影響を定量評価する指標とその計算手法を提案する.その結果,組織の研究力は高いが研究者が育たない「頭脳の棺桶」の存在や,未だ研究結果は小さいが今後成長するシードとなりうる組織が明らかになり,学術生産性の高い組織が必ずしも優れた研究を促しているとは限らないことが確認された.本研究は各組織の研究動向を説明する大きな指標となるとともに,今後の研究組織マネジメントを行う上での重要な示唆を含んでいると考えられる.