社会的関係を考慮した日本語敬語コーパスの構築への取り組み

抄録

NLPの教師あり学習タスクにおいて，コーパスが非常に重要な部分である．今まで，対人関係を考慮した外国語の大規模コーパスの多くは，丁寧さ、形式、感情などを取り扱ったものがそのほとんどであるが，日本語は，話者間の社会的地位によって発話文の表現が異なり，とくに敬語の使用にその違いが顕著に現れる．日本語において，そのようなの特性を考慮することは，機械翻訳や対話システムにおいて，その意味の違いを正しく処理を行うことはとても重要である．しかし，現在，社会的立場を踏まえて敬語を取り扱うようなコーパスは未だ存在しない．そこで本研究は，このような背景を踏まえ，社会集団における言語使用を取り扱う選択体系機能言語学に基づき，社会的地位関係の情報を含む敬語コーパス（KeiCOコーパス）を構築し，実用性の高い分類タスクでの精度を確認した．