近年,高齢者施設における入居者の安全を守るためのセンシング技術の重要性は増しており,特にミリ波レーダーにより取得された時系列の点群データの活用への期待が高まっている.点群データを用いた動作識別に着目すると,深層学習を用いた手法が近年多く研究されているが,識別のために必要十分な情報を含む特徴空間を構成すると共に,大量の教師データを準備する必要がある.しかし研究対象であるミリ波レーダーから取得される点群データは取得時間ごとに点の数が異なり,これらの点群をそのまま深層学習モデルの入力とすることができない.また,動作情報が付与されたデータの取得にコストがかかるという課題がある.そこで本研究では,得られた点群データに対し様々な統計量の時間方向の推移情報を用いて特徴空間を構成すると共に,時間方向に畳み込みを行うOne Dimensional CNNによるモデル化を行い,かつデータ拡張手法により十分な学習データを用意することで識別精度を高めた動作識別手法を提案する.さらに,実際の点群データに対して提案手法を適用し,動作識別が可能であること及びデータ拡張による精度向上を確認する.