人工知能学会全国大会論文集
Online ISSN : 2758-7347
第38回 (2024)
セッションID: 3G1-GS-11-01
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LLMは「技術哲学的に」なにが重要なのか?
ポスト現象学による社会的含意の考察
*水上 拓哉大家 慎也浅野 輝
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抄録

現在、ChatGPTやBardなどの大規模言語モデル(Large Language Model, LLM)を用いたサービスの利用者が急速に増加している一方で、教育や創作をはじめとする分野ではその倫理的・社会的問題が指摘されている。LLMは技術的にはtransformerや機械学習などの連続的な変化のひとつに位置づけられるが、その社会的・倫理的問題の特異性はこの流れから分析することが困難である。そこで本研究では、技術哲学の近年の研究、とりわけポスト現象学のアプローチに依拠し、人間・技術・世界の間での志向性の働きの分析に基づいて、LLMが倫理的・社会的観点においてどのような重要性をもつか考察する。LLMはこれまでの人間と世界がもちうる多様な志向的関係を「自然言語」をベースに実現する可能性をもっている。ゆえに、LLMは人間の認知や振る舞いの可能性を大いに広げる。しかし他方で、技術と権力の問題(たとえば学習データのヘゲモニー性)が、対話や質問応答などの自然言語処理のタスクだけでなく、あらゆる技術の機能において生じる可能性がある。

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