バクテリアや T 細胞から人間に至るまで様々なレベルの生物の移動行動にレヴィウォークが見られる。レヴィウォークにおいて、直線ステップ長の出現頻度はべき分布p(l)~l-μ、1<μ<3に従い、同じくランダムウォークの一種であるブラウニアンウォーク(ステップ長lの出現頻度が指数分布p(l)~e-λlによって特徴づけられる)に比べて時折長距離の直線移動が出現する。レヴィウォークは、環境にまばらに散らばった資源の分布を知らない動物にとって有用な探索戦略とされ理論的にはμ=2の場合が最も効率的になることが知られている。 本研究では、ダンゴムシの歩行データを我々が提案した指数分布とべき分布を特殊な場合として含むある分布に適合させ、その分布のパラメータを求める。次に、そのパラメータを基づいてシミュレーションを行い、ダンゴムシと同様のステップ長の出現頻度分布を有する歩行パターンを生成する。その後、元の歩行データ、ランダムにシャッフルしたデータ、シミュレーションによって得られたステップ長時系列データに対してハースト指数を計算し、比較する。その結果、ダンゴムシの歩行パターンに時間依存性があることを確認した。