現在はストレス社会とも言われるように，多くのストレスを抱える人が存在する一方で，そのストレスを吐き出すことができる相手をもたない人も多い．また，AIを活用した相談やカウンセリングのサービスも提案，提供されているが，これらのサービスは問題解決を主目的とするものが多く，日常の愚痴をただ聞いてもらうための相手としては利用しづらい．そこで本研究においては，ユーザの愚痴を聞き続け，問題解決は行わずに，共感や励ましの応答を生成することで，愚痴の聞き役に徹するチャットボットを提案する．評価実験により，積極的に問題解決を行うカウンセリングボット，ならびに単に雑談するチャットボットと比較し，提案手法の効果を検証した．実験の結果，対話のスムーズさ，対話の進め方，気分の変化といった観点から一定の効果を示すことが明らかになった．
