抄録
連立1次方程式の解法の1つであるBiCGSTAB法は,桁落ちにより誤差が混入すると本来理的には収束するはずの反復回数では解が得られない場合がある.
本研究では,BiCGSTAB法の計算過程において,発生した桁落ちが残差多項式の零に与える影響について考える.
残差多項式は,反復が収束したとき初期残差ベクトルに含まれる固有ベクトルに対する固有値を零にもつ.残差多項式の零は,BiCGSTAB法の内積計算で発生した誤差が混入しても,反復が収束したときの零には影響がないことを示す.いくつかの数値例によって,確かめた結果についても報告する.