抄録
確率力学系は,力学系に何らかのランムな変数が介在した非自励系と見なせる。非自励系においても,拡張されたエネルギー関数を考えることによって,自励系でしばしば見られるエネルギー保存や散逸といったエネルギー関数の性質を持っている。このようなエネルギー関数の性質を満たすような差分法について講演する。差分法を構成するためには微分におけるチェーンルールを離散化した差分チェーンルールが必要である。ある平均差分の導入によりこの差分チェーンルールを作ることができる。構成された差分法は一般には多段階法である。