1996 年 13 巻 2 号 p. 139-145
本実験は, 挿木繁殖が困難である日本原産野生種クマガワブドウ (Vitis kiusiana Momiyama) のマイクロプロパゲーションを目的として茎頂培養を行ったものである.
茎頂摘出をフェノール物質吸着剤である水溶性のポリビニルピロリドン (PVP) 添加滅菌水中で行うと, 茎頂の褐変防止に有効であった. シュートを生長させるには, 初代培地として1/2 MS液体培地 (ショ糖3%, NAA 0.01mg/l, BA 0.5mg/lを含む) が寒天培地に比べて効果的であった. 0.01~0.1%の不溶性ポリビニルポリピロリドン (PVPP) の寒天培地への添加は, 茎頂の生存およびその後のシュート生長に有効であった. 発根促進には, 寒天培地へのPVPP添加が不可欠であり, IBA 250mg/l (50%エタノールに溶解) でシュートの基部を5秒間浸漬処理した後, ホルモンフリー培地に植付けた場合が発根率, 発根数および根長において最も有効であった.