植物組織培養
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タマネギ懸濁培養細胞からの植物体再分化
谷川 毅高儀 雅俊一井 眞比古
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1996 年 13 巻 3 号 p. 259-264

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抄録

タマネギの懸濁培養細胞から植物体再分化を試みた. 50μM 4-fluorophenoxyacetic acid (4-FPA), 1μM N6 (2-isopentenyl) adenine (2iP), 1g/lカゼイン加水分解物及び0.1Mショ糖を添加したMS脱分化培地に滅菌種子を播種した. 2ヶ月後, 誘導されたカルスをステンレスメッシュ (1mm) を用いて裏ごしし, それを10mM MESを加えたMS液体培地とともに三角フラスコに移し, 振とう培養した. 1-3回の継代培養後, ショ糖濃度を2倍にした培地で前処理培養したところ, 濃黄色でかつ小さな細胞塊 (DS型) 及び淡黄色でかつ大きな細胞塊 (LL型) が得られた. これらの細胞塊を1μM 2ipとしたMS再分化培地に移した結果, LL型細胞塊から高頻度で植物体が再分化した. また, 1-5μM 2ipの再分化培地への添加は植物体再分化率を向上させた. 順化させようとした再分化植物体の多くは鱗茎を形成し, それらの植物体のあいだには形態的変異は認められなかった.

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© 日本植物細胞分子生物学会
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