1992 年 9 巻 3 号 p. 214-219
Agrobacterium rhizogenes A4株を用いて形質転換した Hyoscyamus albus L. の毛状根を用いて, トロパンアルカロイドの生産および光照射下で培養した根の特質を調べた. 無機要素を1/2にし25-40mMのKNO3を添加した Woody Plant 液体培地において良好なアルカロイドの生産が得られた. また, 本毛状根を1/2MS液体培地において16時間照明下で培養すると淡い緑色を呈した. B5液体培地に4mMの硫酸アンモニウムを添加すると, 1/2MS培地を用いた場合と同程度のクロロフィル含量が得られたが生育は改善されなかった. アンモニウムイオンがクロロフィル含量に影響を与えていることが考えられる. 本緑色毛状根を電子顕微鏡で観察した結果, 未成熟な葉緑体に近いものとアミロプラストに近いものとの二つのタイプの色素体が見いだされた.