オオムギの子葉鞘細胞系を利用し, マイクロインジェクション法による外来遺伝子の導入と
in situ 検出法を組合わせ, 高等植物における遺伝子発現解析システムを確立した. 導入する外来遺伝子としては, GUS遺伝子およびTMVの外被蛋白質遺伝子を使用し, CaMVの35SプロモーターとNOSターミネーターに接続して子葉鞘細胞に注入した. 導入遺伝子の転写は, フォトビオチン標識したアンチセンスmRNAプローブをプリッキング法で二次導入し,
in situ ハイブリダイゼーションによって検出した. また, 遺伝子の翻訳産物については, 遺伝子導入細胞に一次抗体 (抗TMV抗体もしくはGUS抗体) を注入し, さらに酵素標識抗体を二次注入して検出した. 以上の結果, 子葉鞘細胞に導入した遺伝子の発現が転写ならびに翻訳の段階で検出され, その検出頻度は導入遺伝子の種類にかかわらず80%以上であった. 同様の結果は,
in vitro で合成したmRNAを注入した場合にも認められ, 本法が高等植物の細胞レベルにおける遺伝子発現解析システムとして有効であることが示された.
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