PLANT MORPHOLOGY
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特集I イメージングおよびその関連技術と植物学
レーザー熱膨張式マイクロインジェクションとその応用
筒井 大貴東山 哲也
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2012 年 24 巻 1 号 p. 33-36

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抄録

マイクロインジェクション法は狙った細胞に目的の物質を導入できることから,細胞生物学においてポピュラーな手法として用いられてきた.しかし,主に動物細胞で用いられてきた技術であるために,高い膨圧を持つ植物細胞では原形質が針内部に流入してしまい針が詰まってしまうことが問題であった.我々が開発したレーザー熱膨張式マイクロインジェクション(Laser-assisted Thermal-expansion Microinjection,LTM法)は,針内部のレーザー吸収剤の熱膨張圧によって原形質の流入を防ぐことができるために,針が詰まることなく1本の針で連続してインジェクションすることが可能となった.また,従来の方法では十分な圧力が得られないために扱うことができなかった,先端径が0.1 μm程度の針を用いることもできるため,細胞へのダメージも少なくなった.使用用途は植物細胞に限らず,出芽酵母のような微小細胞や細胞核・オルガネラなどにもインジェクションが可能である.本稿ではLTM法の原理とともに,これまでの利用例についてもご紹介したい.

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© 2012 日本植物形態学会
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