抄録
ヤシャゼンマイはゼンマイから種分化した渓流沿い植物であり,適応的な形質と考えられる細葉形質をもつ.細葉形質の遺伝的背景を明らかにするため,推定F1雑種のオオバヤシャゼンマイからF2雑種を作成し,三出複葉になった時点で,計6形質を計測した.その結果,側羽片の基部の角度と下側最下の側脈および上側最下の側脈から分岐する支脈数の間に相関がみられたが,ばらつきは大きく,相関係数は0.520および0.426であった.また,分子マーカー解析により,側羽片の基部の角度に影響を与える遺伝子と連鎖していると考えられる遺伝子座がみつかった.しかし,この遺伝子座における遺伝子型と下側最下の側脈から分岐する支脈の数などの他の形質の間には相関はみられなかった.