PLANT MORPHOLOGY
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特集II 超イメージング技術による生物科学のフロンティア
二次細胞壁パターン形成のイメージング解析
小田 祥久福田 裕穂
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2013 年 25 巻 1 号 p. 45-50

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抄録

木部道管の分化は劇的な表層微小管の再編成を伴い, 特徴的なパターンの二次細胞壁の沈着を引き起こす.木部道管の分化は組織の奥深く限られた領域で起こるため解析が困難であり, この二次細胞壁のパターンを制御する分子メカニズムはこれまでほとんど解明されてこなかった.近年, シロイヌナズナを用いた in vitroでの木部道管の分化誘導系が開発され, 木部道管分化における表層微小管の動態や, 二次細胞壁パターンの制御に関わる因子が明らかにされた.その中で我々は, 転写因子を用いたシロイヌナズナ培養細胞の木部道管分化誘導系を新規に確立し, 道管分化における遺伝子発現解析, ライブイメージング, in vivoタンパク質間相互作用の検出, 遺伝子機能解析を実現した.その成果として, 新規微小管付随タンパク質MIDD1およびROP GTPaseが二次細胞壁パターンを制御する重要な因子であることを突き止めた.本稿では我々の研究成果を中心に, 近年明らかとなってきた二次細胞壁パターンの制御機構に関する知見を紹介する.

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© 2013 日本植物形態学会
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