2013 年 25 巻 1 号 p. 51-54
細胞が分裂する時,ゲノム等分配の役割を果たす染色体は,構造や本数が厳密に制御されている.このメカニズムを解明するために,染色体接着因子であるコヒーシンを制御する因子RBMXタンパク質を同定した.光感受性赤色蛍光タンパク質KillerRedを用いて光分子不活性化解析(Chromophore-assisted light inactivation : CALI)を行い,RBMXタンパク質の細胞周期特異的ノックダウン解析を実施した.KillerRedに緑色光が照射されるとROSが発生し,複合体タンパク質の機能が阻害される.KillerRed-RBMXを発現した培養細胞の核にCALIを実施することで,RBMXタンパク質はG2期に機能し,コヒーシンの維持に重要な役割を果たすことを証明した.このような光感受性蛍光タンパク質を用いたCALI法は,細胞や組織特異的なタンパク質阻害法として植物研究にも有効と考えられる.