PLANT MORPHOLOGY
Online ISSN : 1884-4154
Print ISSN : 0918-9726
ISSN-L : 0918-9726
高圧凍結法を用いたエンドウ幼芽の細胞内微細構造の観察
金子 康子
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 12 巻 1 号 p. 10-19

詳細
抄録
要旨:発芽の過程でエンドウ種子中の幼芽を構成する細胞は、細胞内のプロテインボディやリピドボディに含まれる貯蔵物質を急速に分解・利用して、光合成などの機能を担う細胞へと発達していく。この間予想される、ダイナミックな細胞内構造の移動、分解、構築の様相を観察することを目的として高圧凍結法を試みた。凍結状態は試料によって一様ではなかったが、良好な凍結像が試料断面の大部分、厚さ約0.2mmにわたって得られることもあった。通常の化学固定像と比較して、全ての膜構造は滑らかで、細胞質や細胞小器官の基質の密度が高かった。また、膜の種類による電子密度の違いが顕著であった。吸水直後に細胞膜の内側を一面に覆っていたリピドボディが、数時間の間に発達中のプラスチドを取り囲む位置に集団で移動する様子が観察された。活発に移動していると推測される細胞内構造の付近に、多量の小胞体やマイクロフィラメントの束が存在していた。
著者関連情報
© 日本植物形態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top