PLANT MORPHOLOGY
Online ISSN : 1884-4154
Print ISSN : 0918-9726
ISSN-L : 0918-9726
単細胞緑藻Micrasteriasの形態形成
植田 勝巳
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 12 巻 1 号 p. 32-38

詳細
抄録

要旨:単細胞緑藻Micrasteriasでは、細胞分裂後生じる隔壁は膨れて半球、3葉、5葉となり、各小葉には更に成長過程で小突起が形成されて親半細胞と同型となる。子の半細胞の体積増加は、細胞壁の壁圧減少による吸水力増加の結果、水が細胞内に入ることにより起こる。僅かに高張な培養液中では、子の半細胞の体積増加は止まるが、細胞壁の形成は進行し、小型細胞を生じる。小型細胞は多くの場合、親半細胞と全く異なる形態をとる。このような異形小型細胞からも、常に正常な子の半細胞が生じる。2細胞を中央小葉で融合させたdouble cellを作り、そこから無核細胞その他を誘導し、核・細胞質の細胞突起形成への関与についても調べた。生長中の子の半細胞では突起の谷間になる部分で、原形質膜と細胞壁は強く結合していることが分かった。この結合によりこの部分へはゴルジ体由来の小胞が取り込まれず従って成長が起こらず突起の谷間になる可能性が高いことが示唆された。微小管は小葉が膨れて球形となるのを抑える位置に出現した。Micrasteriasの複雑な突起形成は、原形質膜と細胞壁の接着性と微小管の出現位置で説明可能と思われる。

著者関連情報
© 日本植物形態学会
前の記事 次の記事
feedback
Top