抄録
要旨:高等植物は芽生えた後、茎頂分裂組織から葉や花などを作り続けて種に特有の形態を作りあげる。個々の葉や花の原基は種によって定まった葉序に従って茎頂分裂組織の一定の位置に生じ、それらは茎頂分裂組織から独立して発生を進める。また、葉腋に形成される側枝も一度伸長を始めると主軸から独立して発生を行う。これらの葉・花・側枝は各植物に固有の空間的な展開を行い、それらが植物の形態の多様性を深める。植物の形態を知る上で、どのようにして葉や花や側枝が形成されるのかを総括的に見ていくことは重要である。本稿では、茎頂分裂組織から葉や側枝が形成される過程を現象論的に整理すると共に、それらの発生過程に対する最近の分子遺伝学的知見を紹介する。