PLANT MORPHOLOGY
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減数分裂時に見られる相同染色体の挙動
安積 良隆
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2006 年 18 巻 1 号 p. 3-12

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抄録
要旨:近年,シロイヌナズナ等で減数分裂期に異常が生じる挿入変異体が数多く報告されるようになり,またそれらを解析する様々な技法が確立されて,ようやく植物でも減数分裂の分子遺伝学に基づく解析が可能になってきた.当研究室でもシロイヌナズナを用いて,相同染色体の対合過程を制御するしくみを明らかにすべく,研究を行ってきた.その研究の一環として,相同染色体の対合できない変異体を単離し,その原因遺伝子の解析を行ったところ,この遺伝子,SOLO DANCERS,は減数分裂時に特異的に発現するサイクリンの遺伝子であることがわかった.このことからシロイヌナズナでは,相同染色体の対合にサイクリンが必要で,この遺伝子の変異体では相同染色体同士が全く接近しないことが明らかになった.また,FISH(fluorescent in situ hybridization)法を用いた減数分裂期の染色体の詳細な解析により,対合の開始時期にセントロメア同士が接着している様子や相同染色体分離時には染色体が末端部分で連結されている様子が観察され,セントロメアとテロメアにはこれらの時期に果す,まだ知られていない働きがあることが示唆された.
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© 日本植物形態学会
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