抄録
要旨:先端成長は植物の形態形成の根本を担うものであり,その多様性と基本システムを明らかにすることはきわめて重要である.サクラ属のシュート構成の多様性,ミツマタの三叉分枝形成,そしてマツモの花発生などの種特異的な先端成長についての形態学的研究は,先端成長の多様性を明らかにし,従来のモデルに対する再評価への糸口を与えている.先端成長の基本システムについては,ミイロイヌナズナの根端成長を対象とした細胞動力学的解析によって,その働きが細胞レベルで明らかになってきた.さらに,この細胞動力学的手法に数理モデルを組み込むことで,先端成長における細胞増殖と細胞体積の増大の関係性を解体し,環境・遺伝要因が基本システムの働きに及ぼす影響を定量的に解析することが可能となった.