2018年に経済産業省が「デザイン経営」を宣言した.これはデザインの力をブランド構築やイノベーション創出に活用しようという動きである.産業界でもデザイン思考が注目されているが,これは,ゴール志向型のプランナブルなプロジェクトとは異なり,ゴールそのものを創発・探索するプロジェクトであり,探索型アプローチ(Exploratory Approach)が必要となる.本稿では,東京理科大学経営学部国際デザイン経営学科が,北海道の長万部町の協力を得て,地元に根ざした課題発見・解決プロセスに取り組んだ「コ・デザイン」プロジェクト事例を分析し,創発的プロジェクトにおける探索型アプローチの勘所について述べる.