公共政策
Online ISSN : 2758-2345
政策評価の進展とその法制化
政策評価と会計検査
山本 清
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 2000 巻 p. 2000-1-008-

詳細
抄録

行政改革会議の最終報告を受けて実施される今回の行政改革の特徴の一つは,政策評価機能の拡充強化である。従来の我が国の行政は計画・予算重視でしかも手続き・準拠性が主たる運営原理であったのに対し,今後は成果重視の結果志向に移行することが意図されている。しかしながら,今回の改革の政策評価は行政内部の評価であり,内部統制と外部監査機関等による外部統制は評価に関しどのような関係にあるべきかという問題の他,どのレベルの行政活動を対象にするのか,いかにアカウンタビリテイ確保と質及び効率性の向上を達成するのかに関しては不透明な点が少なくない。そこで,まず,評価と会計検査のアプローチを比較し,ついで外部監査機関が従来型の監査から評価に重点を移行している背景を整理する。そして,我が国の行政改革にも大きな影響を与えている新公的経営管理(New Public Management; NPM)下においては,評価が行政活動の成果を定量化した業績指標体系を前提にして国民を顧客,サービスの提供者を供給者とする仮想市場のシグナル的機能を担うことを明らかにする。こうしたNPMが適用されると,外部監査機関に求められる機能も自ずと異なり,会計検査の評価のタイプも業績指標のモニタリング的評価と行政庁の評価を補完する評価,つまり,第三者として政策の枠組みの検討と政策の効率性・有効性の改善を図ることに分かれることを示す。

著者関連情報
© 2000 日本公共政策学会
前の記事 次の記事
feedback
Top