実践政策学
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効果的な鉄道の安全対策が新たな課題を惹起する
「安全の4M」と「リスク」の体系化による考察とマネジメントの重要性
片方 喜信石田 東生岡本 直久
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2015 年 1 巻 1 号 p. 77-87

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抄録
鉄道においては、ヒューマンエラーによる重大な事故防止策としてヒューマンが担う部分の装置化・自動化を図ることで、ヒューマンエラーの発生する機会を減少させてきた。また、ヒューマンエラーはあり得るという考え方に立ち、「ATS-P」形に代表される信号機の確認操作等のバックアップシステムの整備を進め事故防止に効果を上げてきている。しかしながら、装置の自動化に伴うデータ入力ミス、装置故障時の不慣れな作業、自動化されたバックアップ装置への安全過依存など、その操作・運用・マネジメントに対する新たな形態のヒューマンエラーが発生している現実にある。「ハザード」が潜在的にありそれが「リスク」として認識され、「アクシデント・インシデント」として顕在化する前に未然防止策を探り、実践することが重要であるとの認識のもと、「安全の4M」の視点を踏まえた「ハザードとリスク」と「アクシデントとインシデント」の体系化・普遍化を図り、実務レベルで使用できるように具象化することは、ものの本質を捉え未然防止策立案に必要不可欠な要件となる。今後、社会から不断に要請される安全の追求のための、大きなリスクマネジメントサイクルのあり方を提案する。
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