実践政策学
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大学キャンパス内のシェアサイクルポート設置の有効性評価
千葉大学西千葉キャンパスを対象にして
西口 朋輝有賀 敏典
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2024 年 10 巻 1 号 p. 53-62

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抄録
近年シェアサイクルが急速に普及している中、大学キャンパス内にシェアサイクルポートを導入する例も散見されるが、シェアサイクルポート導入が学生のモビリティをどの程度改善するのか、また需要はどれくらい見込めるのか定量的に評価した例は少ない。一方、導入の効果を定量的に示すことで、大学キャンパス計画や大学周辺の交通計画に役立てられると考えられる。そこで本研究では、千葉大学西千葉キャンパスを対象に、自転車有無による学生間の移動格差の実態を把握し、シェアサイクルポートをキャンパス内に設置する際の課題を整理するとともに、シェアサイクルポートをキャンパス内に設置した場合の学生のモビリティの変化と利用需要を明らかにした。手法としては、移動実態とシェアサイクル利用意向を尋ねるアンケート調査から学生のモビリティの変化を評価するとともに、行動意図法(BI法)を用いてシェアサイクルポートの利用需要の予測を行なった。またヒアリングにてシェアサイクル導入の課題を整理した。その結果、自転車を大学周辺に保有できない学生は自転車通学の学生よりも大学キャンパス周辺の移動を不便だと感じていること、大学キャンパス内にシェアサイクルポートを設置した場合には自転車非所持学生の大学キャンパス周辺の移動が改善することを明らかにした。また、千葉大学西千葉キャンパス内にシェアサイクルポートを設置した場合は、一般的なポートに比べ多くの利用が見込まれることを明らかにした。
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