抄録
大阪市は、公園や道路の利用者の安全・安心を確保するために、2018年度から2024年度まで公園樹・街路樹の安全対策事業を実施しており、7年間で約19,000本の高木を伐採する予定である。本論文ではこの事業の内容を、公開されている2023年度の事業資料と現地で観察して得られた情報を用いて説明してから、この事業の問題点を伐採基準、植え替え状況、事業の効果、市民への周知の4つの視点から指摘する。そして、公園樹・街路樹の通常維持管理と安全対策事業を合わせた2017年度から2021年度までの大阪市の樹木管理データを分析した。これらの結果、樹木管理において剪定費が占める割合が約70 %であること、年度別の剪定費が一定なら剪定本数・剪定面積は減少すること、通常維持管理でも安全対策事業でも高木伐採後に高木に植え替える割合は20 %を切り、結果として2017年度からの5年間で高木が約16,000本減ったこと(2018年の台風21号による倒木の伐採は含めていない)、植え替える場合は小さい樹木への植え替えが多いこと等が明らかになった。これらを踏まえて、大阪市における公園樹・街路樹管理に対して次のような改善策を提案する:樹木の健全度の診断は樹木医が行いその結果を尊重する、伐採基準を明文化する、根上がりを理由とした伐採をできる限り減らす、健全なヒマラヤスギ・アベリアの伐採は止める、街路樹は適切に剪定する、高木伐採後の高木への植え替え率を高める、市民への周知内容・方法を改善する、高木本数等のデータを公表する、樹冠被覆率を指標に採用する、安全対策事業の第二の目的も説明する等。