抄録
日本はここ20年来デフレ不況に陥っており、未だデフレ脱却には至っていない。そのような経済状況下にもかかわらず、日本においても新自由主義的政策が一部取られてきた。また既往研究においても新自由主義的政策を取り巻く言説には詭弁的要素が含まれている可能性があることが実証されている。本研究は、新自由主義が国民に受け入れられる要因の一つに、新自由主義政策を取り巻く言説の中に詭弁的要素が含まれている可能性が存在する、と考え、その言説を虚偽論に基づき分析する。そして、それに基づき、本研究はそれらの言説が説得的コミュニケーションにおいてどのような心理的効果を及ぼすかを検証するため、計112人の被験者に対し心理学実験を行ったところ、詭弁を含む物語記述はより大きな意見変容を被験者に生じさせる結果となった。