抄録
わが国の公共交通では、利用者減少に伴う収入減やバス運転手不足が深刻化しており、その解決策として情報通信技術を活用した価値・情報空間におけるLoS向上施策が講じられている。このような施策の事業者視点での効果は確認されているが、利用者の利用意識や行動変容への影響、特に複数施策による複合的な相互効果は明らかになっていない。本稿では、国内初の本格的なゾーン制運賃を導入するとともに、運行ルートの再編、パターンダイヤの導入、キャッシュレス決済の導入の4つの施策を一体的に実施し、運行・運賃・決済に関わる公共交通改善施策を統合的に展開している香川県坂出市を対象に利用者調査を行い、バスの利用状況や各施策への利用者認識を把握した。結果、パターンダイヤ導入とバスルート再編を認知し、有用性を認識することがバス利用頻度の増加に影響することを特定した。また4つの施策に対して技術・施策受容型の同時方程式モデルを適用することで、施策の認知度の向上が有用性の認識を高め、それぞれの施策の有用性の認識には相互関係が存在し、複合的な効果が生じることを確認した。さらに、今後のバス利用意向には日々の習慣に根ざした体得知が強い影響を与えており、利用促進に繋がるための体験の場づくりが重要であることを示した。