東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-32
会議情報

一般口述
筋筋膜性腰痛患者に対する直線偏光近赤外線照射併用による体幹下部の可動域の変化 ―シングルケースデザインによる検討―
*畔川 慎一北澤 修一中川 香松本 和真上田 佳苗中川 一博北出 一平
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】 直線偏光近赤外線(Linear Polarized Near-infrared Ray:LPNR)照射は、鎮痛等を目的とした星状神経節照射・局所照射の効果や皮膚創傷の治癒促進効果が報告されており、整形外科やペインクリニック等の領域で多く利用されている。しかしながら、これまでの研究報告は疼痛緩和等に関するものが多く、関節可動域が改善するか否かに関して検討した報告は少ない。今回、慢性腰痛疾患患者3例の圧痛部位に対してのLPNR照射を介入することで腰椎および股関節の可動域に変化を認めるかをsingle case designを用いて検討した。
【方法】 対象は、脊柱の手術既往や急性腰痛をのぞいた慢性腰痛疾患患者3例とした。症例1(34歳、男性)、症例2(64歳、女性)および症例3(71歳、女性)の3症例にはABA’B’デザインを使用し、1週ごと(3回/週)に腰部伸展筋群に対するストレッチングと腰椎椎間関節に対するモビライゼーションを加えた治療(SM)とSMにLPNR照射を加えた治療(SML)を交互に全4週間施行した。治療時間は両治療いずれも計20分間とした。LPNR照射は、スーパーライザーPX Type2(東京医研株式会社)を用いて、プローブC type、出力80%および照射時間7分間の設定で腹臥位にさせた対象者の圧痛部位に対して照射を加えた。関節可動域測定は、腰椎および股関節の屈曲伸展とした。疼痛の評価は痛み対応電流値およびnumerical rating scale(NRS)にて評価した。従属変数は各評価項目、独立変数はA、A’期をSM、B、B’期をSMLとした。各測定は、各介入前の3回/週とし、計12回とした。解析は各評価項目と時間経過をグラフ化し、slope分析を使用して、従属変数の変化傾向と定量的数値を判定した。なお、対象者には実験の趣旨を十分に説明し、同意を得た上で行った。
【結果】 全症例ともにAA’期に比べBB’期で痛み対応電流値およびNRSのslope値は低値傾向を認め、股屈曲および腰椎屈曲角度のslope値は高値傾向を認めた。しかしながら、腰椎伸展および股伸展角度に関しては、全症例ともに全期において著しいslope値の変動は認めなかった。
【考察】 先行研究では、温熱刺激またはストレッチングのみではコラーゲン線維の伸張性を認められず、温熱刺激とストレッチングの併用により有意な伸張性向上を認めたと報告されている。今回、徒手療法にLPNR照射を加えたことにより、組織が加温され疼痛の軽減とともに徒手療法による筋伸張効果が増幅され屈曲方向への可動域の改善を認めた可能性が考えられる。
【まとめ】 筋筋膜性腰痛患者に対する徒手療法にLPNR照射を加えることで、疼痛緩和とともにより腰椎および股関節の可動性の向上を図ることができたと考えられる。

著者関連情報
© 2012 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top