実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
Print ISSN : 2189-2946
震災伝承施設を有する公園の構成的特徴と類型化に関する研究
東日本大震災を対象として
屈 銘涛嘉名 光市高木 悠里
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2025 年 11 巻 1 号 p. 77-90

詳細
抄録
東日本大震災以降、各地で震災の経験と教訓を次世代に伝えるための伝承施設が整備されてきた。その中でも、公園は慰霊・記録・教育など多様な機能を空間的に統合する場として注目されている。しかし、既往研究は個別の施設やプログラムに着目したものが多く、公園全体を対象とした体系的検討は限られている。本研究では、震災伝承施設を有する公園54箇所を対象とし、基本概要・防災施策・立地条件・伝承施設構成の4観点から情報を整理し、8タイプに類型化した。さらに、平面図等を用いて代表事例の空間分析を通じて、各タイプの構成傾向と特性を明らかにした。その結果、規模や整備主体により、防災教育・慰霊・遺構保存等の機能的重心の在り方に傾向が見られた。特に、大規模公園では多機能をゾーンごとに分散する構成が見られる一方、小規模公園では限られた空間に機能を集約する設計が主流であった。こうした分析を通じて、今後の防災・復興施策における公園整備の方向性と設計戦略に資する知見を得た。
著者関連情報
© 2025 実践政策学エディトリアルボード
前の記事 次の記事
feedback
Top