抄録
わが国では在宅介護が政策として推進されており、今後自宅で介護を行う同居介護者の生活に影響を与える可能性がある。本研究では、暮らし方・働き方及び幸福感について同居介護実施者と非実施者間の比較を行い、自宅で介護を行うことによる時間的・環境的・精神的差異の実態を明らかにすることを目的に調査・分析を行った。東京都区部、広島市、福山市を対象にアンケート調査を実施し、傾向スコアマッチングにより個人属性を考慮した分析を行った。同居介護の有無による時間的差異を明らかにするため生活時間を比較し、平日・休日ともに同居介護がある方が家事に費やす時間が長く、同居介護がない方がその他自由な時間が長いことを確認した。環境的差異についてはテレワークの実施と仕事場所を比較し、同居介護していると自宅での仕事時間が長く、同居介護していないと自宅以外での仕事時間が長い。精神的差異として、5年前の自身や世の中の平均と比較した幸福感について、同居介護を行っている方が低く、介護により暮らし方に制約があることが一因となっている可能性がある。その対策として日常的に利用する施設や介護に関わる施設を充実させるといったハード面だけでなく、同居介護者を支援する制度の拡充を行うべきである。