抄録
南海トラフ巨大地震は近い将来高確率で発生すると想定されており、被害が想定される地域では地震及び津波への対策が求められる。加えて、人口減少に伴い公共施設の在り方が見直されており、公共施設の総量削減や津波被害想定地域での公共施設の移転や再配置等が行われている。今後災害で大きな被害が想定される自治体では、都市・防災・公共施設の複合的な観点からの都市づくりが求められる。そこで本研究は、南海トラフ巨大地震での被害が想定される和歌山県を対象として、都市・防災・公共施設に関する行政計画の策定プロセスや庁舎の移転・建て替えや諸計画の策定に関連するプロセス、計画間の連携・調整の実態を明らかにすることを目的としている。和歌山県沿岸部の各自治体の計画策定状況や庁舎の更新状況から海南市・御坊市・田辺市の3自治体を抽出し、市街地の状況と計画内容、庁舎の更新と防災の関連性、各計画間の関連性について文献調査及び自治体へのヒアリング調査により把握した。その結果、都市に関連する計画と防災については計画間の連携がみられた。施設の将来方針は利用率や老朽化の度合いから決められていたが、公共施設に関する計画内には防災を考慮した方針については記載がみられた。また、庁舎や消防署などの災害時の拠点となる施設については、建物更新時に災害を考慮してあり方を検討するという動きはみられた。