抄録
我が国における需要追随型の駐車場整備は、供給過剰による需給のミスマッチを招き、街並みの分断やにぎわいの喪失といった都市問題の原因となっている。しかし、供給量の上限値を設定し需要を管理する理論的アプローチは確立されておらず、特に大都市近郊における需給実態の解明は十分でなかった。そこで本研究では、東京近郊の3市の中心市街地を対象に駐車場の需給量を定量的に評価したうえで、理想的な交通体系の実現や上位計画の政策内容を考慮した「望ましい分担率」という新たな評価軸を導入し、需給管理型の総量規制の可能性について、その有効性と実現に向けた課題の検討を行った。分析の結果、対象地域では需要が最も高まる休日のピーク時においても、供給が需要を大幅に上回る「供給過剰」の状態にあることが確認された。さらに、「望ましい分担率」に基づき需要削減の可能性を評価したところ、特に「休日の公共交通利用を平日の水準まで引き上げる」施策が高い削減ポテンシャルを有することが示唆された。以上の結果は、画一的な駐車施設の附置義務基準からの転換という政策課題の解決に向け、本研究で提案する手法が、大都市近郊という事例を通して需給管理型の総量規制を具体的に検討するための有効なツールとなり得ることを示唆している。