抄録
全国平均や都市部と比べ、少子高齢化、人口減少が進む山村地域では、人員不足により従来の役場のサービス提供体制を維持できないなどの問題が生じている。また、山村地域においては、世帯内の運転できる者の有無により高齢者の居住意向が異なる、子や孫の若年層が送迎等の負担を感じるといった特徴がある。中でも、子育て世帯は、子育て、親戚の面倒をみる立場にありながら、働く者が多い世代である。また、子育て世代は、妊娠、出産後の間もない期間の手続きを申請しなければならない負担感があり、子育てに関する正確な情報の入手等を求める声が多いなどの役所の窓口サービスに関する要望がみられる。本研究の目的は、群馬県嬬恋村を対象に、役所窓口サービスにおける情報システムの導入が山村地域の居住意向に及ぼす影響を実証的に明らかにすること、情報システム導入による子育て世帯の居住意向の向上のための施策について考察することである。分析の結果、山村地域の子育て世帯は、コミュニティ形成の支援、親戚の送迎や介助、子育ての手続きに伴う負担軽減が情報システムによりなされることにより、情報システム利用意向を形成することが明らかになった。また、子育て世帯の中でも、子どもの年齢が3歳以下であり親戚が村内に住んでおり、子育て、送迎や介助による負担が大きい層が負担軽減への期待から居住意向を増すことが明らかになった。