実践政策学
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首都機能バックアップの立地可能性に関する考察
京阪神地域およびかつての移転候補地を対象に
波床 正敏
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2016 年 2 巻 1 号 p. 59-72

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抄録
首都直下地震等による首都機能維持に関する危険性が指摘されて数十年が経過したが、今なお具体的な対応策は実施されていない。東日本大震災以降、首都機能を関西などでバックアップする議論は始まったが、本格的な議論はこれからである。本研究では、従来の首都機能移転候補地や最近の副首都構想なども含めた複数地域を対象に、首都機能バックアップ立地の可能性の検討を試みた。首都機能の継続に必要な基本概念としては、まず、完全移転の場合は移転先での機能不全になる確率を下げることが適切である一方、バックアップの場合は、同時被災しないことの方が重要であることを示した。その上で、災害リスク(地震)はどの程度か、首都圏との同時被災の可能性がないか、既存の都市集積を活用できるか、広域アクセスに不便はないか、について分析した。その結果、相互依存の少ない首都機能の部分的な配置や首都機能の完全移転の場合は、関西文化学術研究都市中西部、かつての首都機能点候補地のうちの岐阜・愛知が適当であることがわかった。また、バックアップ地としては、学研都市中西部が適当であることがわかった。さらに、一部の条件を緩和すれば、大阪国際空港や万博記念公園、栃木・福島地域、三重・畿央地域西部もバックアップ地とできることがわかった。
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