実践政策学
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商店街組織活動における非公式組織の役割
奈良もちいどのセンター街「夢CUBE」事業を事例に
南 愛松村 暢彦加賀 有津子
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2016 年 2 巻 1 号 p. 83-95

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抄録
商店街組織による事業の多くは行政施策によって支援されており、その事業プロセスの分析はより有効な施策の実現のために重要である。奈良もちいどのセンター街では、空き店舗の増加や通行量の減少、後継者の不在といった多くの商店街が抱える課題に直面する中、チャレンジショップ「夢CUBE」を商店街主体で建設及び運営し、それらの課題に対処したとして注目されている。本稿では夢CUBE立ち上げの過程を事例に、組織の協働は組織の意思決定や取り組みなど公式なものと個人的な繋がりや認識など非公式なものがそれぞれ役割を持ち相互作用を及ぼして成立しているという組織論の観点から、事業以前から構成員間で形成されてきた非公式組織の役割について明らかにした。本事例において、非公式組織やその結果である暗黙に共有された規則、慣習、価値観、理解などは事業以前から構成員間に形成されていることや、構成員の貢献意欲のもととなる多様な誘因が提供されていたことを明らかにした。非公式組織の結果は各場面の意思決定や行動の円滑化や方向づけに影響すること、非公式組織は意思決定前の調整や非公式組織の結果の共有の場面で伝達機能を果たしていた。また、誘因は非公式組織を介して共有されることで価値観に繋がることが示唆された。
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