抄録
本論は、民俗学から対話型まちづくりに研究変遷した筆者の20年余の経験を内省し、その方法を遡及推論し、民俗学的まちづくりの方法を「仮説」提示することを目的とする。都市民俗学、阪神大震災復興まちづくり、住民協働型交通まちづくり、大阪市こどもの居場所づくりでは、住民の活動に共感し(同情)、生活の在り方を考え直し、生活価値の発見を求めてきたことが、自己再認識された。近年では、命や公共に対する配慮が、民俗学的まちづくりには重要と考えている。その結果以下の仮説を提示する。民俗学的まちづくりの方法は、個々の思いや生活の内省や、集団、地域の反省を共有化するものであり、共感や生き方についての問い、地域の歴史、命や公共心を対話のなかで発見する。その結果、地域の暮らし方、aspirationを発見し、より了解性の高い「仮説」を提示するものである。本論では、このような民俗学的まちづくりを「仮説」し、これを共創co-creationまちづくりとよぶことにする。