実践政策学
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低平地における水害危険区域の設定による被害軽減方策に関する研究
信濃川下流域を対象として
上石 洋輔安田 浩保
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2018 年 4 巻 2 号 p. 235-242

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抄録
日本の国土は様々な自然災害に対して構造的に脆弱である。これまでのインフラ整備に加え、最近では現行の公共工事費の範囲ですぐに実施できる減災型土地利用計画、避難計画などの危機管理対策の組み合わせによる被害の最小化が模索されるようになってきている。このような多重的な対策は、激甚な土砂災害や津波災害を契機として実施されるようになったもので、既にこれらの危険区域の指定は積極的に行われている。一方で、近年の気候変動を主因とした極端降雨現象による大規模な水害が頻発しているが、水害に対する危険区域の設定が積極的に行われているとは言い難い。2015年の常総市の水害を契機として沿川の危険区域の設定が限定的に行われた例はあるが、水害の可能性がある氾濫原全体を対象とした危険区域の設定の前例はなく、その設定手法は未確立である。本研究では、氾濫原全体の水害危険区域の設定方法を確立するため、信濃川下流域を対象として以下を実施した。まず、同流域における宅地の相対的な水害危険性を調べた。その結果、第二次世界大戦後に危険性の低い土地で多くの宅地開発が開始され、現在は宅地の適地となる水害危険性の低い土地のほとんどが開発済であることが明らかとなった。つぎに、危険区域の設定に重要な要素である将来の開発継続性について調べた。その結果、人口減少に伴う世帯数の減少傾向が予測される現状では新たな宅地開発は考えにくく、むしろ既存宅地における空き家の利活用や住宅再築等が進むことが推測された。これらのことから、信濃川下流域のような既に開発が飽和状態に達している氾濫原の危険区域の設定は、氾濫原内に残存する宅地適地と世帯数の将来予測の照らし合せにより可能となることが示唆された。信濃川下流域における危険区域は、水害危険性の高い既存する宅地適地に対して集中的に設定すればよく、これにより将来的にも同流域における水害の軽減が可能となることが推測される。
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