抄録
2011年1月、ブラジル各地で同時多発的な大規模土砂災害が発生し、市街化が進んだ災害リスクを有する急傾斜地を中心に、約1,000人の死者・行方不明者が出た。同災害を受け、ブラジル連邦政府は既存の都市計画関係法令に防災及び災害リスクに曝される低所得者層向け住宅対策の観点を取り入れ、災害リスクを考慮した都市計画関係法制度の構築を図った。しかし、都市計画を担う市政府にとって、災害リスクを考慮した都市計画をどのように検討、規定すべきか明確ではなく、それらを補完するための指針作成が喫緊の課題であった。そのため、防災の知識と経験を持つ日本政府に技術協力の要請がなされ、2013年から(独)国際協力機構による技術協力が開始された。本研究は、ブラジルにおいて土砂災害リスクを考慮した都市計画策定を支援するため、我が国の技術協力を通じて策定した都市計画マニュアル及び土地利用計画段階別・土地利用コントロール手法に着目し、同手法の特長及び課題を明らかにする。さらに、本技術協力を通じ、今後の我が国による技術協力の効果的な実施方策についても考察する。分析の結果、①同手法は複数のメリットを有し、汎用性が高い点が明らかになった。②一方で、都市計画マニュアル及び同手法の実効性の担保や、内容の充実を図るための幾つかの課題も明らかとなった。③技術協力実施にあたり、我が国が取り組むべき事項について明らかとなった。