抄録
我が国では出生率の低下を一因として少子化が進行し、人口減少の一途を辿っている。特に「地方小都市」は一概に人口減少が進み、中には自然増・社会増双方が見込めず、消滅可能性都市に該当する自治体も存在する。全国の自治体が少子化に対応し、人口減少に伴う税収の減少、生活インフラの衰退を抑制するかが至上命題化している。宮城県沿岸における北東端に位置する宮城県気仙沼市も例外ではなく、昭和55年を機に恒常的に人口が減少している。そこで気仙沼地域が現状取り組んでいるのは、首都圏等からの移住・定住の促進である。しかし移住・定住施策として、気仙沼で生きていくことの良さを対外的に広報したとしても、移住した後に「地域で生活していくこと」や「地域で子どもを育てていくこと」の価値を実質的に感じられないことには、持続的かつ長期的な少子化の解消に向かうとは言い難い。寧ろ今後重要とされるのは気仙沼地域で子育てをする積極的価値に繋がりうる環境的要因を理解し、その価値を向上させるための政策を形成していくことではないかと解する。そこで本稿では気仙沼市における「良好な子育て環境」として規定する環境的要因とは何かについて、実際の子育て経験のある住民の意見交換の場にあたるタウンミーティングでのグループインタビューを基に把握を進めた。その結果、気仙沼市における良好な「子育て環境」を規定する三つの要因が抽出された。