実践政策学
Online ISSN : 2189-1125
Print ISSN : 2189-2946
津波浸水想定区域内における庁舎の再整備事業に関する研究
静岡県焼津市と静岡市清水区における建築的工夫と事業検討フローに着目して
村田 萌々香五十石 俊祐太田 尚孝
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 9 巻 1 号 p. 101-111

詳細
抄録
東日本大震災において、庁舎が津波被害を受けたことで、災害対応に支障をきたした市町村が散見された。こうした事態を受けて、施設整備に際して、立地場所の安全度等を踏まえながら事業を検討するようにとの指針が示された。しかしながら、全国的に高台や津波浸水想定区域外への庁舎移転は進んでいない。また、移転事業を進めるのは、経済性や合意形成の面でハードルが高いと指摘されている。そこで、本研究では、津波浸水想定区域内において災害時にも都市の中心として機能し続けられる庁舎の実現手法を把握するべく、静岡県焼津市と静岡市清水区での庁舎再整備事業を調査した。その結果、調査対象の2都市では、津波浸水想定区域内における庁舎再整備により、庁舎周辺の中心市街地に集まる昼間人口が津波から一時的に避難できる場所を確保できていると分かった。加えて、庁舎の建築計画についてヒアリング調査をした結果から、平常時の利便性を損なわないようにしつつ、被災時に庁舎機能が麻痺しないようにする工夫が整理できた。事業検討フローに着目すると、庁舎の整備場所や構想を検討する段階で住民参加を推進することにより、合意形成の円滑化が図れていると把握できた。こうした工夫はどの自治体でも実現できるような汎用性の高い取り組みであることから、本研究の分析により、庁舎の津波対策として有効な手法の一端を把握できたと考えられる。
著者関連情報
© 2023 実践政策学エディトリアルボード
前の記事 次の記事
feedback
Top