抄録
情報技術の進展やCOVID-19の流行により、ネットショッピングが浸透しつつあり、様々な制約から解放される反面、実店舗が空間的に縮小されることにより都市の形成に影響を与えることが考えられる。本研究では、岡山県岡山市に居住するインターネット利用者を対象としたアンケート調査結果を用いて、実店舗とネットショッピングの支出金額の割合と品目、利用理由に関する分析を行った。分析結果をもとに、地方都市におけるネットショッピングの意義を考察し、次のことが明らかとなった。①中心部や最寄り駅までの所要時間が短い地域ほど、買回り品である家電や書籍のネットショッピングの支出金額割合が高い。さらに、スーパーの立地による支出金額割合への影響が小さいことから、ネットショッピングが居住地周辺の実店舗の充足度を補うものではない可能性がある。②ネットショッピングの利用理由の違いにより、買回品の支出金額割合に差異があり、品目の特性が要因となっている可能性がある。③インターネット利用者であっても、半数近くの人が実店舗での買い物を基本としていることが確認できた。また、全ての品目においてネットショッピングの支出金額割合が高い人は、時間的な自由、商品の金額、品揃え、機能等よりも、“実店舗に出向く”という行動を省略できることを理由に利用している傾向がある。