抄録
2010年代に入ってから新型コロナウイルス感染症のパンデミック(コロナ禍)を迎えるまで、我が国ではインバウンド観光の需要が急増し続け、「オーバーツーリズム」「観光公害」現象も話題に上っていた。また、コロナ禍は観光客数を激減させたが、それに先立ってオーバーツーリズムが発生していたことが、パンデミックにおける経済被害を助長したと指摘する議論もある。これらのことから、平常時と危機的事態の双方にわたって、観光への過度な依存が地域経済を脆弱化する効果について学術的検討が必要であると考えられる。本研究では、大阪・京都の商店街及び交通関係者に対してコロナ禍中に行ったインタビュー調査に基づき、観光ブームやコロナ禍の影響は業種により多様であること、インバウンド需要に起因する不動産バブルが地域経済に大きな混乱をもたらしたこと、コロナ禍をきっかけとして一時的な観光ブームに依存したビジネスのあり方を見直す動きが生じていること等を確認するとともに、土地や不動産利用に関し慎重な計画や規制が求められることを指摘する。