抄録
東日本大震災の経済被害を推計した研究はいずれも短期的もしくは限定的な範囲での被害に注目したものであり、被害規模が総じて過小評価されている可能性がある。本研究では、岩手県・宮城県・福島県の3県における「復興事業費を控除したGRP」の推移と他地域のGRP等から構成した合成対照群の成長率の乖離に着目し、復興事業費の地域配分に係る情報が入手できた2018年までの累積的な経済被害を推計した。また、東日本大震災後2018年までのデータから推定される回復傾向をたどった場合の復興完了年及び累積被害を仮に推計した。その結果、被災3県の2018年までの累積被害は約49.6兆円、復興完了までの期間は25年、その間の累積被害額は約63.8兆円と推計された。また、福島県における被害は特に甚大であり、継続的支援が重要であることが示唆された。