抄録
【背景】小児期にリウマチ性疾患を発症した患者のライフイベントに対する統計データや同年代の
非疾患群と比較した報告は少ない.【目的】鹿児島大学病院小児科の小児期発症リウマチ性疾患患
者における成人後の通院・進学・就職・結婚・妊娠の状況を明らかにする.【方法】当科入院また
は複数回受診した20歳以上の患者に対し受療状況・ライフイベントについて郵送調査し,過去の
調査と同年代の一般集団と比較検討した.【結果】患者の通院先は内科47.9%,リウマチ科33.0%,
小児科21.3%であり,そのうち患者の78.3%は公的医療費支援を受けていた.過去の調査と比較す
ると小児科通院は減少し指定難病医療費助成制度と高額療養費制度の利用は増加していた.大学
進学は42.3%で過去の調査より増加した.就業者の業種は医療福祉が39.7%と最多で同年代より多
かった.婚姻率は35.4%で過去の調査や同年代と同等だった.妊娠女性の66.7%が妊娠前後に治療
を変更し,33.3%が流産を,19.0%が不妊治療を経験した.【結語】患者は以前と比べ成人科へ移行
し公的医療支援を受けながら同年代と近い生活をしていた.